転職しようとエージェントに登録して求人票を並べて見る。
「おや?この求人の応募条件、優遇資格は自分の経歴にベストマッチ。もはや私を呼んでいるとしか思えない!」
こんな求人票を見かけて満を持して応募した結果・・・不採用??
「自分が合格できなかったら逆に誰だ受かるんだーー??」
みたいな経験をした事はありませんか?
私の知り合いのベテランシニアエンジニア(仮にAさん)が、同じようなシチュエーションで転職に失敗しました。
実は、この転職に当たっては私がAさんの実力を見込んで会社に紹介したので、私自身不採用には意外でした。が、面接官に理由を聞いたら意外な、しかし納得の理由を教えて貰えました。
本当に勿体無い。紙一重で新天地を手に入れ、彼のスキルがあれば好待遇を勝ち取るチャンスもあったかもしれません。
彼は転職に失敗した理由と、その対策についてお話したいと思います。
目次
Aさんの失敗
Aさんの紹介/ベストマッチング?
Aさんは、私の以前の職場の同僚でした。
現在働いている会社で、「人手が足りなくて採用を掛けても中々条件の合う人がいなくて困っている」という話を耳にしました。
詳しく話を聞いてみると、前職の同僚だったAさんのがベストマッチすると思い紹介する事にしました。
会社のニーズ | Aさんのスペック | |
会社の概要 | 新興再エネ発電所開発事業 | 発電所開発事業(当時) (元は大手電力会社出身) |
年齢 | 不問 シニアの経験者多数在籍 | 60代後半 |
求める経験 | 電線敷設の企画・建設事業の経験 | 電線敷設のエキスパート 日本中の電力会社と協業経験 |
希望のキャラクター | 自ら現場に赴くフットワーク 裏方では無く実務担当する | 年齢に関係無く精力的に日本中の 現場を担当した実績有り |
しかも。実は、Aさんを会社に紹介する少し前に、Aさん側から転職を考えていて、私の会社に関心があるという話を聞いていました。応募意欲・転職意欲も十分です。
以前一緒に働いていましたので、スペック的にも会社の要求に十分応えられる確信もあります。
良縁を結んだとこの紹介に私は自信満々でした。
不採用。その理由
自信満々で紹介したのですが、結果は「不採用」
非常に意外でした。スキル的には問題が無かったので、不採用の理由を私は「年齢かな」、「待遇が合わなかったのか」と想像していました。
面接担当者に理由を聞いてみた所、帰ってきた理由は「Aさんの事が良くわからなかった」という事でした。
Aさんの方にも聞いてみましたが、Aさんは、「言いたいことも言えたし、聞きたいことも聞けた。なんで不採用となったか理由は分からない。」という回答でした。
なんだか嚙み合わない感じですが、Aさんの話しぶりを聞いて、理由は何となく分かりました。
Aさんは、転職というものを全く理解せず、心構えも全くできていない状態で大事な面接にのぞんでしまったのです。
ちょっと拍子抜けするような、少々下らない理由ではありますが、反面笑えない話だな、と私は感じました。
私も生涯現役サラリーマンとして働いていく事を考えていますが、年を取れば取るほど転職するチャンスは当然減っていくはずです。
もしかしたら、今回の転職話はAさんにとって人生で最後のチャンスだったかもしれません
それを言わば準備不足という残念な理由で、もしかしたら今以上の好待遇を提示されるかもしれないチャンスを失ってしまった訳です。
本当に勿体無いと思います。
反面教師・転職のチャンスを逃さない為にすべきこと
人生100年時代と言われて久しい今日この頃。
定年延長で働く年数はどんどん伸びつつ、また、世の中の変化も激しくなり新卒で入社した会社で一生勤め上げられる可能性は小さくなりつつあると思います。
自分の身を守る為にも、また変化する世の中で、Aさんを反面教師に、若しかしたら舞い込んでくるかもしれないチャンスを逃さない為に今できる事を考えてみました。
①「転職ありきの人生設計を考えてみる」
望むと望まざるに関係無く、人生で最低1度は転職する事になるかもしれません
1度「もし今いる会社を辞めなくいけなくなった」という前提で人生設計をしてみては如何でしょうか
②「転職活動をしてみる」
いずれ来るかもしれないチャンスに備えて転職の準備をしてみては如何でしょうか
転職エージェントを上手く活用することをお勧めします
因みに、サラリーマンでの経営者クラスや超優秀なスキルを持っている人材であればヘッドハンティングなどで向こうからチャンスが舞い込んでくるので別にこんな準備はいらないと思います。
しかし、私のように自分を「普通のサラリーマン」だと認識されていたとしたら、誰も声は掛けてくれないし、チャンスは自分から取りに行かないと掴めません。
そんな普通のサラリーマン仲間に向けたメッセージです。
転職ありきのキャリアプランを考えてみる
転職は避けられない
Aさんは、新卒で大手電力会社に入社し、定年間近まで勤務した後、インフラファンドで前職の経験を活かして発電所の開発業務に従事していました。
電力業界は、1990年代以来徐々に電力自由化の変化はありましたが、2011年以降の震災による原発に対して猛烈な批判が起こり、また同時期に再生可能エネルギーの興隆と脱炭素の流れで直近の10年で大きく環境が変わりました。
Aさんは、それまで大手電力会社で着々と実績を築き、後10年時代が早ければ波風立たずにハッピーリタイアとなっていたもしれません。しかし、現実はキャリアの終盤で突然の外部環境の変化に晒され、転職マーケットに飛び出す事になりました。
今回はAさんにとっては、2度目の転職だったのですが、1回目の転職は当時の上司についていく形だった為、主体的に転職活動を行うのは今回が初めてだったのです。
あるブログ記事によると企業の平均寿命ははかつて30年と言われていましたが、今は更に短くなり25年を切っているそうです。定年延長により、新卒の22歳から70~75歳の定年まで働く事を考えると50年以上。すくなとも1回は転職する可能性があります。
東京商工リサーチは、登録されている企業が倒産した場合の「主要産業別平均寿命」を集計している。2018年の集計によれば倒産した企業の平均寿命は23.9年で、最も長いのは製造業の33.9年。卸売業の27.1年、運輸業の25.9年と続き、短いものは金融・保険業の11.7年となっている。業種によってバラツキはあるものの、最長が33.9年というのはショッキングな結果だ。
企業寿命30年説は本当?的確な成長サイクルの把握とその対策について徹底解説! | THE OWNER (the-owner.jp)
大事なのは、「この会社にいれば一生安泰」という考えを安易に持たないこと。
残念ながら、会社寿命(=旬の仕事)は刻一刻と変化し、移り変わって行きます。
旬を逃す、旬を過ぎて斜陽化した仕事や業界に居続けることは、会社と一緒に沈んでいく運命を受け入れる事で、サラリーマンにそんな義理は無いと思っています。
私は、転職という手段を使ってきましたが、例えば今の会社に残るとしても異動などで、できるだけ「旬」の部署や業務に触れて自分の市場価値を保ち続ける努力は必要だと思います。
そうする事で、万が一、実際に転職する時のアピールポイントにもなりますし、転職しなくとも例えば会社自体が衰退する時期が来たとしてもリストラなどのリスクを回避する事になると思います。
転職活動をしてみる
「転職活動」をしてみる、というのは、直ぐに転職しましょうという結果を求めるというより、過程である活動=挑戦してみる、というイメージを私は考えています。
実際に、自分で転職活動を始めようとすると色々と準備があります。
まず、職務経歴書があります。実際に、書いてみると良く分かりますが、日々忙しく仕事を行い、充実した毎日を送っているように思っていても、文章にすると一行で終わってしまったり、案外付加価値の少ない、アピールポイントが無いような仕事を沢山やっていただけだった、という事が見えてくるかもしれません。
また、逆に、毎日上司から怒られて自己肯定感がだだ下がりの時でも、冷静に自分の仕事を振り返って文章にすると「意外と凄いことをやってきたかも」という発見ができる場合もあります。
自分の強みやアピールポイント文章化する中で、「ここで失敗があったな」「この経験が足りていないな」「スキルが無くて困ったな」と感じた場面を振り返る機会もあるでしょう。このように今の自分に備わっていない経験やスキルを認識し、これからの働き方を考えるのチャンスになります。
その結果、「現在の職場に残るのが1番」「まだ何年か経験を積んでいきたい」という結論だ出ればそこで転職活動は一旦終了として宜しいかと思います。
個人的にはもう一歩踏み出して第三者からの客観的な評価を受ける事をお勧めします。
その際は転職エージェントを活用することをお勧めします。
何故なら、転職エージェントは、さまざまな業種・職種の中からあなたの志望や適性に合う求人情報を持っている為、自分では思ってもみなかった求人や市場の動向を知ることができるチャンスがあります。また、キャリアアドバイザーとの面談を通して、自身のキャリア、スキルをすべて明らかにし、それが転職市場でどんな評価につながるのかを知ることができますので、より現実に即したキャリアプランを描きやすくなるからです。
特に、先に述べたあなたのキャリアや旬が「今」かもしれません。
そんなチャンスを逃さないため、せっかく活動を始めたからには、専門家の意見も是非聞いて欲しいと思います。
何より、転職エージェントへの相談は無料で利用できます。
ここでお話したメリットを受ける所まではノーリスクという事がお勧めできる一番の理由です!
転職で得られるメリットは数千万円!
企業の寿命からサラリーマンにとって1~2回の転職は人生のイベントとして不可避な時代になる事をお話ししました。
加えて、私が生涯現役で働く事を見据えて転職を活用したいと思っているのはもう一つの理由は、老後資金対策です!
私が社会人になって20年経ち、最近やたらと50歳代前後をターゲットとしたリストラ・早期退職の話題を耳にします。変化の激しい時代に、人件費の高い高齢者はお荷物として扱われてしまう世の中です。
自分の今いる会社のビジネスが旬を失い、斜陽化しているとしたら、リストラされなかったとしても先は明るくないでしょう。
もし自分がリストラされそうな時に、転職で新天地を見つける事ができて、例えば年収500万円で5年間働く事ができたら単純計算で2500万円、10年で5000万円収入を得ることができます。
雑な計算ですが、もし転職できなければ同額を自分の貯えを切り崩していく事になるわけですから、真面目に考えて損はないですよね。
私は、投資や貯金で数千万円の老後資金を貯めていく事にあまり自信を持てないのですが、自分自身がサラリーマンを続け、転職しながらでも、1年でも長く働いていく収入を生んでいく事にはある程度現実味を感じられます。
長期投資ならぬ、長期キャリア戦略ですがその一環で転職を活用する事は是非ご検討頂ければと思います!
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