皆さんは何歳まで働きたいですか?私はできるだけ長く働きたいです!
勿論60歳を超えてまで若者とノルマを競わされるような働き方はゴメンですが、年相応の敬意と給与が払われて、自尊心と懐が満たされるような状態を夢見ています。(笑)
ちょっと都合の良い話に聞こえるかもしれませんが、案外、手の届く夢では無いかという風に考えています。
というのは、私の周りにも第一線で活躍されているシニアの方を見ますが、決して特別な存在では無い「普通のおじいちゃん」といった人達が多いのです。
私の周りの「シニア世代の現役サラリーマンの事例」と「シニア世代が活躍する世の中」についてご紹介したいと思います。
「ポジションを手に入れる為に今私達がするべき事」について考えてみたいと思います。
目次
シニア世代の現役サラリーマン
私の周りのシニアサラリーマン
私が「シニアのサラリーマン」を明確に意識したのは5社目のインフラ系の投資ファンド(※)で働いていた時です。年齢は自分よりも一回り以上上ですが一線で一緒に仕事ができるほど精力的。それまで築きあげた経験で多少の事はサラッとこなせる、という人が多数いました。
※5社目の「インフラ系投資ファンド」の事業内容を簡単に説明すると、「インフラ=生活や産業の基盤となる設備(電気、ガス、水道等のエネルギーインフラや道路、港湾、空港等の交通インフラ等)」を投資対象に顧客から預かった資金を運用しそのリターンを顧客に提供する会社でした。
私のいた会社はインフラの中でもエネルギーインフラを投資対象とし、顧客の資金を元手に自ら発電所で建設する事をやっていました。
投資ファンドは業種で言えば金融系のビジネスなので、組織的には金融系の経歴がある人が中核にいる体制です。
一方で、投資対象になる「発電所」の建設に関して金融系の人間は全く知見が無い為経験者を求める訳ですが、ここで求められるのが即戦力であるシニア世代のサラリーマンとなるわけです。
一緒に働いていて、彼らのポジションってある意味美味しいなーと羨ましかったです
・技術知識ゼロの金融系の社員から無条件でリスペクト受ける
・自分の業務範囲にライバルがいないか極端に少なく口出しされる事が少ない
・ポジション的に出世競争等しがらみから解放されている
・社内では希少人材なので待遇面が恵まれている。場合によっては交渉できる立場
・現職での実績が更に次のチャンス(転職)につなげられる
ケースバイケースとは思いますが私が一緒に働いていたシニアの人達は実際こんなメリットを享受していたような気がしまし、70歳を超えて次の転職を達成した人もいました。
ではその技術系の人達がどんな経歴を持っていたかと言えば、一言でいえば「普通」という印象です。
勿論技術の分野の中にも特別優秀な人もいるのでしょうが、同社の業務上、傑出したスキルが必要な訳ではありません。傑出する技術があっても披露する場所も無ければ、残念ながら周囲の人間にはそれも分からないという環境です。
私がいた会社が評価したのは、「●年間その仕事をしていました」というサラリーマンとしての経験を評価して採用していた訳です。
サラリーマンとしての淡々と積み重ねている経験そのものが将来評価されて人生のチャンスに繋がるという可能性に非常に勇気づけられた経験でした。
テレビで紹介されたシニアサラリーマン
ある日テレビのバラエティー番組で見ていてこんな人が紹介されていました。
リフォマというリフォーム会社と個人をマッチングするサービスを提供されている株式会社ローカルワークスの渡邉 一伸さんという方です。
印象に残ったのでご紹介します。
大工を5年経験後、ハウスメーカーからヘッドハンティングを受ける。業者指導、施工管理に従事。阪神淡路大震災においては1年間復興財団として職人2000人を統率し、復興作業に奔走。1996年に独立。会社を10年経営後、2016年1月にローカルワークス入社。という経歴だったそうです。
株式会社ローカルワークスは言わばベンチャー系IT企業で、渡邊さんの経歴とは全く無縁の世界。
それでも大工と建設業の経験をITベンチャー企業に活かして発展に貢献していらっしゃるようです。
これから10年後、20年後にどんな世の中になっているかは全く想像はできませんが、例えば今は影も形も無いこれから立ち上がっていくようなビジネスに自分の経験が求められるような未来があるんじゃないか、渡邊さんのような方の活躍がこれからシニア世代の価値を引き上げてくれるんじゃ無いかと勇気づけられます。
シニアが活躍できる世の中
私が社会人になった頃の定年年齢は60歳でしたが、今は65歳から70歳に引き上げられています。
また、実際に自分の周りを見回してもこの20年で、シニア世代の活躍の場は裏方からフロントに変わってきているのを感じます。
定年年齢の延長
高年齢者雇用安定法(当時の「中高年齢者等雇用促進法」)は、昭和46年5月に制定された法律です。定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による高年齢者(55歳以上)の安定した雇用の確保をすすめ、高年齢者等の再就職を進めるための法律です。
昭和61年4月に60歳定年を努力義務とする改正、平成16年4月に「定年65歳まで延長」、「60 歳以上の継続雇用制度導入」、「定年制の廃止」のどれかを義務付ける改正、平成25年改正で希望者全員の60歳以降雇用を義務付けるよう改正されました。そして、令和3年4月より、70歳雇用の努力義務が課されるように改正されます。
この20年の私の周辺の変化
高年齢者雇用安定法により法律的にもシニア世代の雇用が今後当たり前になっていくんでしょうね。
私自身は、これまで6回転職しているので同一の会社での”定点観測”では無いのですが、この20年でシニア世代の活躍の場が裏方から一線に現実的に変わって来ているような気がしています。
1社目:約20年前の銀行員時代
当時の職場にいたシニア世代の方は守衛、郵便物、窓口の案内係といったいわゆる裏方的なポジションでしか見かけなかった気がします。
少なくとも仕事上で現役世代と交流する事はほとんど無かったと思います。
雇用形態も正社員でも無く、派遣会社から来ていたんじゃないかと思います。
3社目:約15年前の大手ノンバンク勤務時代
不動産向け融資の仕事をしていましたが、物件の設計図面や建築関係の法律のチェックをする部門にシニア世代の方がいたと思います。
先にご紹介した5社目と同じく金融会社で金融以外の専門知識をシニア人材に求めたパターンですね
5社目:約10年前のインフラファンド(上記)
6社目:約3年前の米系デベロッパー
10人足らずの小さな会社でしたがメーカー出身の60代後半のシニアの方が活躍されていました
これまでの人脈や地縁を活かして、パワフルに、小所帯で社歴も実績も浅い会社の弱点をカバーしていました。彼自身がプロジェクトを立ち上げる事もあり、単に雇われているというよりも、逆に会社を上手く使いながら自己実現を達成しているようでした。
私の身の回りだけでもシニアサラリーマンのイメージは、この20年で、裏方的な働き方から、現役世代と同等の仕事をするような立ち位置に変わってきているような気がします。
20年後の自分が60代になった頃には、もっとチャンスが広がっているんじゃないかと期待しています。
長く働く老後対策
「60歳を超えても働ける」と前向きに感じるか、「いつまでも働かないといけない」と後ろ向きに感じるかは人それぞれの価値観によるとは思います。
ただ、平均寿命がどんどん伸びて、人生100年時代とも言われている時代に、一昔前と同じ60歳で定年を迎える事は残念ながら難しいと考えるのが残念ながら自然でしょう。
老後資金の確保も簡単では無い世の中ですが、自分が働いて少しでも長く収入を得られる事ができればそれだけ老後の不安も軽くなっていくはずです。
老後に備えた資産運用も頭の痛い問題ですが、慣れない投資等で頭を悩ますよりも、多くのサラリーマンにとっては、自分自身を鍛えて長く働ける”自分”を作っていく方がイメージしやすいのではないでしょうか。
今できる事
未来の事は分からない/目の前の事をやろう
年を取っても働けるチャンスもありそうだし、実際に活躍している人材もいる、という事は経験上断言できます。でもお気づきの通り、年を取れば、誰でも幸福な職場を手に入れられるかと言えばそう簡単では無いと思います。身の回りにも正直使えないおじさんっていますよね。
そんな人が転職活動をした途端に好待遇で別の会社で雇われるっていう事も恐らくないかと思います。
一方で、先にお話したように、シニア世代で転職できている人は、私の印象では案外「普通」の経歴のサラリーマンです。
つまり、50代ならサラリーマンとして30年、60代なら40年分の経験値を積み上げていければその時間と価値を評価してくれる人は必ずどこかにいるはず、というのが私の考えです。
今目の前にある仕事を淡々とこなしていく事は、その時代・その会社にいる・貴方の目線でしか得られない経験値が積み上げられる訳です。
そんな貴方だけの時間と経験を買いたいという企業は世の中にきっといるはずです。
自分の市場価値を意識する
貴方だけの時間と経験にはそれだけに間違い無く価値があります。
しかし、もう一つ意識したいのは、その経験値の価値を確認する事です。
私は新卒で銀行業に就職しましたが、その20年後の今現在銀行業は斜陽産業化しつつあります。
20年前から統廃合を繰り返してきた銀行ですが、現在では早期退職のニュースも頻繁に聞くようになりました。
私は、元々銀行からスタートしましたが、金融のバックグラウンドを背景に今はエネルギー業界にいます。再生可能エネルギーは国策としてこれから産業として発展していくと思います。
その意味で斜陽産業から伸びる産業に転職という手段を用いて移ってきました。
しかし、その再生可能エネルギー業界の中にも、太陽光発電から風力発電といった旬の移り変わりがあったり、これからは水素やアンモニアといった新素材の活用が研究されるようになったりと常に動いています。今いる場所が今後もずっと安泰とは思っていません。
これからも長く働けるようになる為には、自分の仕事が業界内でどういった位置づけにあるのか、どの程度の価値で評価されるのかという事は時々確認して見ることをお勧めします。
そして、この先に展望に陰りを感じるようなら、日が当たる方へ方向転換したりといった試行錯誤を時々する事も長いサラリーマンい人生では必要だと思います。
ちょっと気になった人は、実際に転職するかどうかは別にして外部の転職エージェントなどを活用して自分の立ち位置を定期的にチェックしてみてはいかがでしょうか。
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